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2022年11月04日コラム

2022年は4月と10月の2回にわたって、育児介護休業法という法律の改正が施行されています。この法改正は、「今後さらに育児・介護と仕事の両立を支援していこう!」という目的で行われたのですが、具体的にはどのように変わったのでしょうか?

今回はパパママにもっとも関わる「育児休業(育休)」について、その内容を一緒に確認していきたいと思います。

育休を取りやすくするために(4月スタート)

まずは、4月からすでにスタートしている法改正について、見ていきましょう。4月の法改正は、主に「会社がするべきこと」です。「男女共に仕事と育児を両立できるように」という考え方から、育休を取得しやすい職場の環境づくりにポイントが置かれています。具体的には、次の2つです。

1つ目は、「育休を取りたいけど、言い出しづらい…」ということがないように、「雇用環境の整備」が義務化されました。これは、社員が育休を取りたいと言い出しやすくするために、会社が次の4つのうちどれかの取り組みをしなければならない、というものです。

①育児休業、産後パパ育休に関する研修の実施
②育児休業、産後パパ育休に関する相談体制の整備
③自社で育児休業・産後パパ育休を取得した労働者の事例の収集と提供
④自社の労働者に対して、育児休業・産後パパ育休制度と育児休業取得促進に関する方針の周知

会社は上記のうちどれか一つは必ず実施しなければならず、また、できる限り複数の取り組みを実施することが望ましいとされています。

2つ目は、さらなる育休取得を促すために「個別の周知・意向確認の措置」の義務化です。個別の周知とは、パパママが会社に妊娠・出産の報告をしたときに「うちの会社にはこんな制度があるよ」と育休に関する情報を伝えること。意向確認は、「あなたは育休を取りますか?」と、会社の方からパパママの意思を確認することです。

これまで、この個別の周知と意向確認は「できる限りやりましょう」というレベルだったのですが(努力義務)、今年の4月からは「必ずやらなければならない」という義務になりました。

会社が情報を教えてくれて、かつ「育休を取りますか?」と聞いてくれれば、パパママはお休みすることに引け目を感じにくくなりますよね。今後はこれを機に育休取得のハードルが下がるのでは、と期待されている取り組みの一つです。

有期雇用労働者の育休取得要件の緩和(4月スタート)

もう一つ、4月からすでにスタートしている法改正に、「有期雇用労働者が育休を取得できる条件の緩和」があります。(有期雇用労働者とは、労働期間の定めがある働き方をしている人のことです。)

れまでは、有期雇用労働者が育休を取る場合、「今の会社で1年以上働いていること」という条件がありました。これが今年の4月から廃止となり、有期雇用労働者が育休を取るためには、

●子どもが1歳6か月までの間に契約が終了しないこと

この条件を満たしていればOKということになりました。つまり、この期間に雇用契約が終了しないのであれば、入社したばかりの人でも育休を取ることができるというわけです。

ただし、会社が労使協定というものを結んでいて、今まで通り「1年以上働いている社員のみ育休を取得することができる」等としている場合は、今回の法改正があっても育休を取得することができません。これは会社によって対応が異なりますので、ご自身の会社はどうなのか事前に確認しておくといいですね。

育児休業の分割(10月スタート)

続いて、10月からスタートした法改正について見ていきましょう。これまでの育休は原則、分割して取ることはできませんでした。(男性の場合は、「パパ休暇」を利用した場合のみ、もう一度お休みすることができました。) ※下図参照

また、この表からもわかるように、保育園に入れなかった場合の育休延長のスタート日は「1歳」と「1歳半」に限定されていました。

これが、今年の10月からは、子どもが1歳までの育休は原則2回まで分割することができます。さらに、1歳以降の育休延長もスタート日の限定はなくなり、夫婦間で途中交代して取得できるようになります。

このように、分割してお休みすることができ、さらに途中で交代ができるようになると、ママの職場復帰がスムーズになることはもちろん、パパの育休取得促進も期待できます。特に、この表の例2のように、パパは産後パパ育休と合わせると、1歳までに最大4回の育休を取ることができるようになります。それぞれの家庭の事情に合わせた育休取得が期待できますね。


いかがでしたか?今回の法改正は、最初にお話したように、育児と仕事の両立を支援していこうと意識した制度になっています。パパとママで力を合わせて子育てを行えるよう、新しい育休制度をぜひ利用してみてくださいね。

(ママさん社会保険労務士 矢野かおり)