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2021年04月02日コラム

働く上で一度は聞いたことがある「103万の壁」と「130万の壁」という言葉。何となく「このラインを超えて働くと損!」ということは知っていても、そもそもこの二つが何の壁なのか?・・・詳しい中身は難しくて、よくわからないですよね。

そこで今回は、この「103万の壁」と「130万の壁」について、わかりやすく解説したいと思います。

103万と130万はそれぞれ別の壁だった?!

今回解説する103万と130万の壁以外にも、数字の壁はいくつかあります。
たくさんあるので、私もときどき「あれ?」となってしまうのですが(笑)
そもそもこの数字の壁がわかりづらい一番の原因は、「税金」についての壁と、「社会保険」についての壁がごちゃごちゃになっているからなのです。

二つの壁を整理してみると・・・

・103万・・・税金の壁
・130万・・・社会保険の壁

このように、それぞれ別の壁なのです。

「103万・130万の壁」とよくひとまとめに言われるので、わかりづらくなってしまっていたのですね。
ちなみに、この103万・130万というのは、交通費等を除いた年間のお給料の総額(いわゆる額面)のことです。

税金のボーダーライン「103万の壁」

さて、二つがそれぞれ別の壁だということがわかったところで、次に「103万の壁」についてみていきましょう。

先ほどご説明した通り、103万は税金の壁。ここで言う税金は、所得税のことです。今回は「自分で払う所得税」と「配偶者の会社の扶養手当」の2つに注目してみましょう。

まず「自分で払う所得税」ですが、これは毎月のお給料から天引きされる所得税のことです。つまり「年間のお給料が103万円以内なら、所得税は納めなくてOK」ということ。

次に、「配偶者の会社の扶養手当」です。配偶者の会社から扶養手当が支給されている場合、多くはこの「103万」をボーダーラインにしていています。

例えば【夫がサラリーマンで会社から扶養手当が出ている+妻がパート】という家庭なら、「妻の収入が103万円以下なら、扶養手当を支給しますよ」ということです。

仮に夫の会社から出る扶養手当が月2万円だとすると、1年で24万円。103万円以内で働いていたら24万円もらえていたのに、104万円働いたらもらえない…ということになってしまうわけです。

会社によってこの扶養手当が出る条件は違ってきますので、ぜひ一度確認してみてくださいね。

以上、
・103万円以下なら自分の所得税なし
・配偶者の扶養手当の条件は103万以下が多い
・・・の2点が、「103万の壁」のポイントです。

社会保険のボーダーライン「130万の壁」

130万は社会保険の壁です。

例えばあなたが夫の扶養に入っている妻だとすると、現在の健康保険証は夫の会社から支給されたものですし、年金も自分では払う必要がありません。この「配偶者の会社から保険証がもらえて、自分で年金を払う必要がないボーダーライン」が年間収入130万、いわゆる「130万の壁」になります。

では、130万を超えてしまったらどうなるのでしょうか?その場合、

・自分で国民年金・国民健康保険に加入する
・自分のパート先等の社会保険に加入する

この2つのどちらかの手続きをすることになります。つまり、配偶者の扶養に入り、自分で年金や保険料を払いたくない場合は、収入が130万を超えないよう注意しなければなりません。

130万を超えた場合は、国民年金や国民健康保険は自分で市役所に行って手続きをします。2つ目の「自分の勤務先の社会保険」は、会社に加入したいと伝えるだけでOKなのですが、誰でも加入できるわけではありません。正社員の4分の3以上(週40時間の会社なら30時間以上)のシフトに入っているなど、一定の加入条件があるので、確認してみましょう。

国民年金も社会保険もお金を払わなくてはいけないものなので、損なイメージがあるかもしれませんが、社会保険の場合は加入するとメリットもたくさんあります。

まず一つ目のメリットは、将来もらえる年金の額が増える点です。夫(または妻)の扶養になっている場合、もらえる年金は国民年金だけですが、社会保険に入ればプラス「厚生年金」ももらえるようになります。

二つ目は、もしも自分が病気になって働けずにお給料がもらえなくなってしまったときは、健康保険の「傷病手当金」という手当がもらえる可能性がある点です。また障害を負ってしまったときは、国民年金と厚生年金の両方から「障害年金」をもらうこともできます。

その他にも、出産のときに「出産手当金」という、それまでもらっていたお給料の約3分の2の額をもらえる場合があるなど、社会保険にはいろいろとお得な制度があるのです。

一方、国民年金はこのような手当はありません。病気になっても保障はありませんし、障害を負ってしまったときも、もらえるのは国民年の障害年金のみです。

ですから、130万を超えて働くのなら、自分の勤務先の社会保険に加入できる働き方をしたほうがお得ということです。

以上、
・130万以下なら配偶者の会社から保険証がもらえて、自分で年金をはらわなくてOK
・130万を超えたら自分で国民年金(国民健康保険)か、パート先で社会保険に入る
・130万を超えるなら、社会保険に入ったほうがお得
・・・の3点が、「130万の壁」のポイントです。

いかがでしたか?
よく聞く「103万」「130万」の壁ですが、税金と社会保険にわけて考えると、案外わかりやすいものですよね。

ぜひ今の状況と将来について考え、ご自分に合ったお得な働き方を見つけてみてください。

(ママさん社会保険労務士 矢野カオリさん)